三条市を拠点に活動する沖縄県出身の東京五輪カヌースプリント日本代表の當銘孝仁(とうめたかのり・30)選手=アーネスト=が2023年2月5日、豪雪地で知られる新潟県南魚沼市の欠之上クロスカントリーコースでクロスカントリースキーなどに初挑戦。雪上ファットバイクやかまくら作りも体験した。
當銘選手のマネージメントをする三条市スポーツ協会の岩瀬晶伍事務局長は「三条市だけでなく違う地域でも當銘選手のことを知ってもらいたい。新潟県のアスリートとしてアピールしたい」とベースボールマガジン社の船見直幸新潟支社長に相談したところ、南魚沼市が主催するイベント「スノーアクティビティ」を紹介された。イベントは雪上ファットバイクやバナナボート、かまくらコンテストなどが行われた。会場はクロスカントリースキーのコースにもなっていることからクロスカントリースキーも体験した。
當銘選手は2015年から新潟県の選手として活躍してきたが、冬季は温暖な地域でのトレーニングが中心のためスノーアクティビティの経験はない。クロスカントリースキーは羽根田卓也選手などカヌースラロームの選手たちも冬のトレーニングとして取り入れていたり、海外選手もスキーを練習に取り入れている。
生まれて初めてクロスカントリースキーの板を履いた當銘選手は「うーわ、滑る!怖っ!」と言いながらもほとんど転ぶことなく30分程平場で練習。一緒に体験をした岩瀬さんと一緒に、上り下りのある林間のコースへ挑戦。「ただ立っているのも難しい」と話す地元の人もいるクロスカントリーだが、2kmのコースを2周して「2回転んだ」だけと運動能力の高さを見せた。
當銘選手は「ストックで後ろに押し出す動き」がカヌーとも近いものがあり心肺機能的にもいいトレーニングで、時間があれば「もう少し滑りたい」と体から汗の湯気を立ち昇らせながら取材陣に答えた。
2024年のパリオリンピックを目指す當銘選手にとって今年は非常に重要な一年となる。ナショナルチーム選出のための3月の海外派遣選手選考会に向けてトレーニングを重ねており「東京五輪も含めていろんな経験を踏まえての挑戦になる」「確実に代表になり、今年から始まる(五輪出場)枠を獲得したい」とした上で、「前回とは違った形にしたい。しっかり上位に絡んで、メダルを狙いたい」とオリンピックへの意気込みを語った。
クロスカントリースキーに挑戦する當銘選手の様子
2023年2月5日(欠之上クロスカントリーコース(南魚沼市))
[當銘孝仁選手プロフィール]
沖縄県糸満市出身。大正大学卒業の2015年から2022年3月まで三条市スポーツ協会(当時は三条市体育協会)に所属。沖縄水産高校時代に始めたカヌースプリント・カナディアン競技でインターハイ、インカレ優勝。ジュニア、U23、A代表と各年代の日本代表として活躍。世界選手権やワールドカップにも出場。リオオリンピックでは出場まであと一歩と迫った。東京オリンピックへは男子カナディアンペア(C-2)1000mでの出場を目指しシニア世界選手権大会やアジア選手権に挑んだ。特にアジア選手権ではトップと0.17秒の僅差まで迫るも、日本の出場枠獲得には至らなかった。その後、シングル(C-1)1000mの東京五輪代表選手選考会で優勝し、2021年8月、東京五輪に出場した。
2022年4月からアーネスト株式会社(新潟県三条市福島新田)に所属し、プロアスリートとしてパリ五輪出場を目指して活動をしている。
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