【スキー】何よりも感じたのがゴール後の悔しさ「もう一度、挑戦したい」 FSSX須貝龍選手

須貝龍応援団報告会及び懇親会

スキーフリースタイル男子スキークロス(FSSX)で北京オリンピックに出場した須貝龍(すがいりょう・30)選手=チームクレブ=が、数センチ差で1回戦敗退となった北京五輪のレースを振り返り「悔しくて涙を流した」、「もう一度、挑戦したい」と、2026年のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックを目指すとした。

須貝龍応援団の報告会及び懇親会が2022年7月9日午後6時から、新潟県三条市のジオ・ワールドビップ三条で開催された。2018年に発足した須貝選手を応援・支援する応援団の会員約40人が県内各地から集まり、須貝選手から2021-22年の活動と北京五輪の報告を聞いた。

太田英夫団長は開会挨拶で、「(毎年の報告会で報告を受けてきた)計画通りに今年2月の北京オリンピックに出場した。有言実行の須貝選手の努力を感じている。そこには私たち応援団の支援・応援の力で支え、北京五輪に送り出すことができたのではないか」と五輪出場の喜びを噛み締めた。

須貝選手は「皆さんの応援のおかげで北京五輪に出場することができた」と感謝を述べ、五輪も含めて13レースに出場した今シーズンを振り返った。オリンピックに向けては、レース前にコースの下見をする「インスペクション」、「体調管理とピークの合わせ」、「メンタル」を中心に準備をした。どんな状況になるか想像しかできない中でメンタルについては、テレビを見ない、インターネットを見ない、オリンピックのニュースを見ないなど全ての情報を遮断した。表彰式・表彰台の映像ニュースなどを見てしまうと、滑っている時に意識してしまうのではないか、と情報を見ないようにしてメンタルを整えながら準備をした。

オリンピックでは「皆さんからの応援がすごく大きな力になった」。オリンピックを経験して、これをステップとして成長できると手応えを感じたが、「何よりも感じたのが、ゴール後の悔しさ」。これまでいろんなスポーツや勉強で目標に向かって頑張ってきた中でも、目標が達成できずに悔し涙を流したことは一度もなかったが「オリンピックでは悔しくて涙を流した」。ゴールしてインタビューを受けた後、悔しくて「もう一度、挑戦したい」と決意した。

五輪の試合映像を流しながら、レースを解説。スタートで出遅れて3番手、一人追い越せばいいからと焦っていなかった。(抜く)ポイントで前の選手に仕掛けていたが抜けずに最後のホームストレート、最後のジャンプを飛んだ後に「勝ったな」という手応えがあった。自分の板が先に出ていると思ってゴール。肩を伸ばすとバランスを崩すので安全策を取って手だけを伸ばした。最終的には写真判定で数センチの差で負けてしまい、1回戦敗退となった。

2026年ミラノ五輪に向けての4年計画を説明し、2021-22シーズンの世界ランキングが19位。これを22-23シーズンに10位、23-24シーズンに5位、24-25シーズンに3位、25-26シーズンに1位と上げていく、と計画を説明して、30分程で報告会を終了し参加者全員で記念撮影。懇親会へと移った。懇親会が始まると会場に展示された北京五輪のビブや公式ユニフォームの前で須貝選手は会員と一緒に写真に収まっていた。

小学5年生の頃から合同練習会に参加している長岡市の中学3年の男子生徒は、五輪の試合を家でテレビで応援していたが「もうちょっとで惜しかった」、この報告会については「内容が濃くてためになる報告で凄く嬉しい」と話し、「アルペンでオリンピックを目指したい。W杯や世界選手権で1位を獲れるような選手になりたい」と目標を語った。

あれは大きな差です

父・須貝澄夫さんに、“ほんの数センチ差だった”とF-SPOが尋ねると「あれは大きな差です」とキッパリ。
「画像は確かに指関節1本だけど、その指関節1本というのは本当は大きな差」で、その差を埋めるというのは、さっき(報告の中で示した4年計画の説明で)19位→10位→5位→3位→1位としていたが「そんなことじゃないんだろう」。「目に見えるFISポイントの13番とかではないものがそこにはあると思う」と指摘。そこにある『何か』については「自分で気づかなければいけない」「その感覚を養わなければ次はまた同じ結果だろう」と戒めた。

報告会前の報道陣の取材に須貝選手は「スキークロスを始めて4年だがその中でのキャリアハイのシーズンになった」。オリンピックについては「結果については納得していないが、取り組みには納得している」と充実感を滲ませ、次の五輪へは「4年後に向けては1年、1年課題、目標をクリアしていった先にメダルが取れるように挑戦していきたい」、「最高順位を上げるよりも悪い方の成績を上げたい。8位以内の確率を上げたい」とした。2022-23シーズンはW杯や世界選手権など全23戦を戦う予定。9月下旬から欧州に渡って練習を積み、11月初旬に開幕戦。途中、帰国もするが欧州、カナダ等を主にレースを転戦する。3月に帰国して全日本選手権に出場してシーズンを終わる。

須貝龍選手は胎内市出身。父親の仕事の関係で2015年から4年間ほど三条市で暮らした。アルペンスキーの滑降やスーパー大回転、複合などの高速系種目で五輪出場を目指したが平昌オリンピック出場は逃した。北京五輪出場を目指して2018-19シーズンからスキークロスに種目を変更した。須貝選手を応援・支援しようと2018年5月に須貝龍応援団が発足。定期的に報告会を開くとともに、ジュニア世代を対象にした合同練習会やスキーキャンプで交流を深めてきた。

須貝龍応援団報告会の様子

2022年7月9日(ジオ・ワールドビップ三条)

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