【スキー】“ウェンゲン” ここでワールドカップポイントをとろうと決めていたレース [再掲載]

アルペンスキー選手『須貝 龍』

北京五輪を目指す

胎内市(中条町)出身、三条市在住でアルペンスキーのスピード系種目でFISワールドカップなど世界トップレベルのヨーロッパのレースを転戦している須貝龍選手(すがいりょう・チームクレブ)が2017-18シーズンを終えて帰国。
2018年4月下旬に三条などのジュニアチームの合同練習に参加し指導を行っていた須貝選手に話を聞いた。 [再掲載]

八海高校3年で卒業を待たず単独でオーストリアに渡り、スピード系のアルペン種目に取り組み活動し今年で8年目。
2015-16シーズンからワールドカップの権利を得て単独でヨーロッパのレースを転戦。
アルペンスキーの種目には技術系の回転・大回転、スピード系のスーパー大回転・滑降、回転と滑降を組み合わせた複合があるが、須貝選手は複合を最も得意とする。

須貝龍選手

須貝龍選手

—-ヨーロッパのレースを転戦するのはどうですか?
「いろいろカテゴリーがあって、カテゴリーごとに大会の雰囲気とか変わってくる。
ワールドカップでいえば世界のトップのレースなので、日本のレースと大きく違うところがあって、楽しさもある。」
—-ヨーロッパのレースを転戦していて、大変なことは?
「自分で自分の環境を整えなきゃいけないので、僕がやっている種目自体が全日本スキー連盟がチームを設けてない種目なので自分でコーチを雇ったりとか、他のチームと交渉したりとかしながら環境を作っていくのは大変。」
—-トレーニングやレースについては大変なことはないですか?
「もちろん難しさはあるが大変さはない。」
—-楽しいですか?
「結果が出ない時は楽しくないが、最終的にシーズンを振り返ると楽しいかな、と思える。」
—-なにか楽しかった、これは面白かったみたいなのはありますか?
「今シーズン初めてワールドカップポイントをとれたレースは楽しいというか嬉しいというか。
楽しいというのは結果がでたときですかね。結果が出た時以外はそんなに楽しくないかなぁとも思うんですけど結果が出た時はすごく楽しいので。」

ポイントを狙いにいってとれたレース

2018年1月12日、ウェンゲン(スイス)で行われたFISワールドカップアルペン・コンバインド(複合)第2戦で須貝選手は初めてポイントを獲得した。日本人男子でワールドカップの得点を取ったのは皆川賢太郎さんなどわずか数名。
ワールドカップの会場は毎年変更があり、同じコースもあれば初めての会場でレースに臨むこともある。
—-ポイントを獲得したウェンゲンのレースについて
「ウェンゲンだけは3年目になるのでコースをわかっている部分もあるし、ここで今シーズンワールドカップポイントをとろうと決めていたレース。その決めていたところでワールドカップポイントがとれたというのはすごく嬉しい。
初めて出た会場(コース)で思入れの強い会場。最終的には2本めで挽回をしてワールドカップポイント圏内まで入った。すごく思入れ深い地なのでさらに初ワールドカップポイントもとれたので僕としてはすごく好きな場所です。」
—-ポイントを狙いにいってとれたレースだったんですか?
「経験がすごく大事になってくる種目だと言われているので。(ウェンゲンは)3回目で、他の会場は全て初めてになり(ウェンゲン以外の)他の会場で(ポイントを)とるのは難しいと予想していたので、取れるとしたらここかな、と。」

世界一の難コース キッツビューエル

キッツビューエルで須貝選手がつけたビブを三条スキークラブの選手が着て滑走

キッツビューエルで須貝選手がつけたビブを三条スキークラブの選手が着て滑走(2018.02.04)


2018年1月20日、FISワールドカップダウンヒル(滑降)第6戦は世界一の難コースといわれるキッツビューエル(オーストリア)。
完走することすら難しいそのコースを須貝選手は滑りきった。それも体調は万全ではない状態で。
—-キッツビューエルは世界一の難コースと言われているが?
「そうなんですけど、どうしても伝えようがないというか、行ってみないとわからないような難しさのコース。いろいろなところで聞かれるが、なかなかうまく説明できない。
僕たち小さい頃からスキーやってきてどんなところでも滑られるんですけど、滑る前に怖さを感じるコースといったらここしかない。
他のコースは、まったく(怖さが)ないわけではないが、スタートするのを拒むほどではない。
ここのコースだけは特別ですごく危険度もあがる。
スピードの次元が高いわけでもなく、ジャンプがさらに飛ぶわけでもないがバーンが全部氷になるので、雪じゃなくて氷の上を130、140キロで滑っていって、ジャンプの距離はでないが高さがでる。急斜面のところにジャンプ台があって、さらにそれよりも急斜面に着地をするので本当に先がまったく見えない。
飛び出した瞬間もまだ先が見えないくらいのジャンプ台がある。そこを飛んでいくのがスタートに立ってから2旗門めにあるので見える。
スタートでの恐怖感というのは他のレースにくらべて圧倒的にある。」

すごく納得のいくシーズンだった

—-2017-18シーズンはいかがでしたか?
「今シーズンはワールドカップポイントもとれたし、オリンピックに出られなかったのが一つ残念なんですけどほかの世界ランキングもいままでの成績より一番いいし、目指していたキッツビューエルにも出られたし、全体的にはすごく納得のいくシーズンだった。」
—-日本代表については?
「日本代表の基準はクリアしてても入れなかったりするのでちょっとなんとも言えない。
世界ランキングはクリアはしているが僕のやっている種目で採用してくれるかどうかというのもあるし、そこはあまり気にせずやってます。日本代表に入ってもサポートを受けることができるわけではないので。いまも自分一人でやっているので、そこ(日本代表)は気にしていない。」

北京五輪を目指す!

須貝選手はワールドカップポイントを獲得したものの、オリンピック選考基準の20位以内2回又は8位以内をクリアできずに平昌オリンピック出場を逃した。
—-平昌にいけなかったときはどうでしたか?
「気持ちも少し落ち込んだ部分もあって、オリンピック自体はほとんでみていなかった。そんなに見たくないなぁ〜、と思いながら。
ヨーロッパにいると(平昌五輪は)夜中にやっているので放送も入ってこないし、ネットも見なければ情報もはいってこなかったので。」
—-北京五輪は目指しますか?
「目指してやっていきます!」

日本代表に入ってもサポートを受けることができるわけではないとして、単独で活動をする須貝選手。
「とにかく節約しながら、自分に投資をしてきました。冬季競技はお金がかかると言われますが、実際には、海外生活費、渡航費用、大会遠征費用、大会エントリーフィー、リフト代などです。それ以外に海外の強豪国、トップアスリートには、専属コーチ、サービスマン(ワックスマン)、フィジカルトレーナーが付いているのが一般的です。」
(RYO SUGAI OFFICIAL WEB SITE(http://ryo-sugai.spo-sta.com/)より)
「「正直迷いはあります。1名雇用する予算しか無い自分にとって、コーチが良いのか、サービスマンが良いのか、フィジカルトレーナーが良いのか。一般的にはコーチになります。もちろんコーチは重要なので、自分はコーチを雇用して活動してきました。しかし、僕達の競技はサービスマンもとても重要で、気候や環境で雪の質が大きく変わり、用品の選択、ワックスの種類、塗り方、これらが大きくタイムに影響します。ワックスの塗り方ひとつで確実にタイムは良くなるんです。それが自分にはいないので、勉強しながら自分で用品のメンテナンス、ワックスを塗って大会に挑んでいます。これは海外のトッププレイヤーではあり得ないこと」
(RYO SUGAI OFFICIAL WEB SITE(http://ryo-sugai.spo-sta.com/)より)

須貝龍SANJO応援団

競技を続けるには資金が必要だ。
須貝選手を少しでも応援しようと三条でも新潟県スキー連盟評議員・三条スキークラブ副会長の太田英夫さんが中心になって「須貝龍SANJO応援団」を5月1日、起ち上げた。
「須貝龍SANJO応援団」連絡先
太田英夫さんFacebookページ https://www.facebook.com/profile.php?id=100024363530510

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