〜怒りのコントロール〜 スポーツ指導者のためのアンガーマネジメント&ソリューション・フォーカスト・アプローチ
スポーツ指導の現場でハラスメントにつながりやすい「怒り」のメカニズムを理解し、感情を適切にコントロールすることでポジティブな指導へ活かす方法を学ぶ研修会が新潟県三条市で開催された。
一般社団法人三条市スポーツ協会(中條耕太郎会長)、三条市スポーツ少年団(芳竹良明本部長)主催のグッドコーチング研修「〜怒りのコントロール〜 スポーツ指導者のためのアンガーマネジメント&ソリューション・フォーカスト・アプローチ」」が1月24日午前10時から三条市栄体育館多目的室で開催され、各競技団体やスポーツ少年団の指導者、保護者、関係者など50人ほどが参加して、怒りのコントロールや解決に焦点をあてたコミュニケーションを学んだ。
講師はアイ・プラス株式会社代表取締役、心理カウンセラーの吉田繁敬(しげよし)氏。吉田氏は日本スポーツ協会公認ジュニアスポーツ指導員、日本パラスポーツ協会公認中級パラスポーツ指導員、剣道錬士七段で企業研修、地域子育て支援講座、
中條会長は「今日は怒りのコントロールがテーマ。時には怒ったり、喜怒哀楽などの感情が出てくるがどうやったら指導が正しく行えるのか。よりハイレベルな指導ができるよう皆さんと共に学びたい」と開会の挨拶。
まず吉田氏は「あまり厳しい指導をしすぎると子どもたちが続かないという時代だ」とし、全日本柔道連盟(全柔連)は「行き過ぎた勝利至上主義が見られる」ということで小学生の全国大会を廃止し、オンラインの柔道技の教室を行っていることや、毎年、日本武道館で行われる全日本少年少女武道錬成大会では畳の上でできる運動あそびを取り入れて、低学年からの体作りに取り組んでいることなどを話した。
続いて「怒り」が生まれる仕組みを説明。サッカーワールドカップドイツ大会でのフランス代表のジダン選手の例をあげ、怒りは感情のひとつでありなくすことはできない、と話し、「怒りの感情とうまくつきあう」アンガーマネジメントが有効だとした。
「怒り」の感情をコントロール
怒りの感情は、1)感情的に爆発させず冷静に「客観的に物事を捉える」、2)「自分の気持ちに向き合い」怒りの奥にある自分の感情を探る、3)理由を具体的に説明し理解をしてもらうことで「自分と相手のギャップを埋める」、手順でコントロールすることができる。
ものの見方を変える
コップに水が半分入っていることを「もう半分しかない」と考えるか「まだ半分もある」と考えるのか、状況をどう捉えるかで否定的なものから肯定的にものの見方を変える、認知の変容「リフレーミング(reframing)」という方法がある。
「どうすれば解決するのか」を考える
何が悪かったのか、誰に責任があるのか、どこに問題があるか、といった「問題」に焦点をあてても、試合の結果など終わった『過去』のことは変えられない。
次の時に結果を出すためにどうしたらいいのか?は「解決」に焦点をあてて「どうすれば解決するのか」を考える『ソリューション・フォーカスト・アプローチ(S.F.A)』が効果的。S.F.Aは何が悪かったのか問題に焦点を当てるのではなく、「どうすれば解決するのか」に焦点を当てて、未来に向かって解決方法を探る方法。変えられない過去にこだわることなく、未来に向かって「次どうするんだ?」と考えていく。過去や環境など変えられないことにイライラすることは無意味で「結局、(自分が)できることをするしかない」。
理由・目的を説明
コーチングは、“選手本人”がなりたいものになれるようサポートすること。理由がちゃんと説明できない指導者が怒りの感情をコントロールできずに高圧的な指導に入ってしまう。相手が納得できる理由・目的を伝えることができれば、指導者がイライラすることがかなり減る。(怒りを)コントロールする方法よりも、何のためにやるのかを、指導者が相手に合わせたいくつかの方法で伝えることが有効だ。
講演終了後の質疑応答では、相手に反省や改善を促す問いかけの第一声言葉・動作はどのようなものがありますか?の質問に吉田氏は「これ何のためにやってるんだ?と理由を聞く。理由を説明して、理由からアプローチを取れば気づく能力は子供にもある」と答えた。少年剣道の指導者から、試合に勝たせたいと言う若手指導者と勝つためだけではなく人間形成の道だ考えている自分との間にギャップがあり悩んでいる、と意見を求めると「若い指導者に勝たせたい理由を聞く。勝たせたいと思う気持ちはダメじゃないが、“勝たなきゃいけない”だったらそれは違う気がする。体力発達期の子供たちは1日2〜3時間、週に二、三日までが身体的、精神的に過度な負担がない活動量。剣道は勝っても負けても相手と想い合ったり、負けても諦めずに頑張るとか、そういった人間形成が一番の目的。その目的について話し合いをするのが一番いいと思う」とアドバイスした。
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