スポーツ応援講座「子どものスポーツ活動と成長」
子どもに必要な運動・栄養・休養やスポーツ現場における発生頻度の高いスポーツ障害などについて様々な論文やデータから考える、スポーツ応援講座「子どものスポーツ活動と成長」が開催された。
講座は三条市体育文化会館指定管理者の一般社団法人三条まちづくり会社(長谷川晴生代表)と三条市スポーツ少年団(芳竹良明本部長)が主催し、2022年12月3日午後2時から三条市体育文化会館マルチルームで開催され、少年団の指導者や保護者等が参加した。少年団ではこれまで指導者向けの研修を行なってきたが、今回は子どもたちを支える保護者等にも知識を深めてもらおうと企画した。
講師は体育文化会館のスタッフでJSPO(日本スポーツ協会)公認アスレティックトレーナー、健康運動指導士、赤十字救急法救急員の石倉孝樹(34) 氏。石倉さんは開志学園高等学校のスクールトレーナーや新潟医療福祉大サッカー部・卓球部、新潟アルビレックスBBサポートなどで競技の現場でもトレーナーをしている。
石倉さんは『「楽しい」という感情が大切』『過度な練習は怪我のリスクを高める』『マルチスポーツのすすめ』の3つのメッセージをもとに話をした。
スポーツの現場では「子供が第一優先に考えられていない」ことがあると問題を提起し、日本臨床スポーツ医学会が2005年に、「楽しい」あるいは「楽しかった」と感じられる「子供目線」の体育指導が必要、と提言をしているとした。
JSPOのACP(アクティブチャイルドプログラム)では、子どもはからだを使った遊び、生活活動、スポーツなどを1日最低60分以上からだを動かしましょうと推奨している。保護者からの「励まし・賞賛」「送迎」「一緒に行う」「モデリング(手本を見せる)」などのサポートが効果的だとしていて、「運動有能感」いわゆる成功体験を感じられる環境を整えることが重要だと紹介した。
子どものカラダは「最小のトレーニングで最大の効果が期待できる」。つまり運動を何時間も行う必要がないばかりか、過度な練習は怪我のリスクを高める事を事例を示しながら説明をした。
同医学会誌では、練習時間の長い子どもほどスポーツ障害を経験することが多いと発表されている。主なスポーツ障害としては野球肘、肩痛、膝痛、オスグット病などがあり、練習時間との関係がみられ、1週間で14時間以上練習する子どもはハイリスク。
2005年同医学会は野球障害に対する提言を発表し、投球障害は練習時間が長すぎること、休養日が少ないこと、年中同じスポーツをしている、などの問題点をあげ、小学生の練習日数・時間は週3日以内、1日2時間を超えないことや球数制限などを提言した。
IOCなど様々な団体は早期競技特化は良くないと明言をしているとして、マルチスポーツを経験することの有用性から、いろんな競技をやりましょうとすすめた。
競技特化とは「1年間を通じて他の競技を行わず、強度の高いトレーニングを単一の競技においてのみ実践すること」と定義されているが、早期競技特化が進むほど、スポーツ障害発生のリスクが高くなる。日本は中学生の90%、高校生の99%が単一の競技に特化していると言われている。
スポーツ障害については各競技団体のウエブサイトに記載があるので、確認しておくと良い。
特に新潟県バスケットボール協会のバスケ手帳は競技・種目を問わずに参考になる。
バスケ手帳(外部リンク)
バスケ手帳の使い方 – 新潟県バスケットボール協会(PDF)
朝食と睡眠時間と体力テスト点数の関係について、スポーツ庁の調査結果データを示し、睡眠は7〜9時間、朝食はとった方が良いとした。
実技は足の捻挫・骨折のセルフチェック方や、三角巾を使った固定方法、アイシングなどについて説明。参加者が互いにやってみて4時頃に終了した。
スポーツ応援講座の様子
2022年12月3日(三条市体育文化会館)
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