【パラリンピック】”焼きなまし”の火を採火 パラアスリート坂田由香利さんが聖火ランタンに灯す 燕市採火式

東京2020パラリンピック聖火フェスティバル燕市採火式

新潟県では東京2020パラリンピック聖火リレー開催に向け、県内全30市町村で独自かつ多彩な方法で採火を行っている。燕市では2021年8月15日午後6時半から燕市産業史料館で採火式を行った。


開式にあたり鈴木力燕市長は「選手村で使われている洋食器の生みの親とも言うべき鎚起銅器を作る過程の中で生まれた火で聖火を灯そう」と燕独自の方法で採火を行い、県内30市町村のそれぞれの火が「新潟で集まり、東京に集まり、パラリンピックが開催されてアスリートの皆さんが最高のパフォーマンスをして活躍して欲しい」とあいさつをした。

燕市では200年以上受け継がれてきた鎚起銅器の製作に欠かせない炎から採火する。製作過程で重要な焼きなましで生じた火を、聖火ランタンに移して、積み重ねられてきた歴史や先人達の技術、一人ひとりが互いの価値や輝きを認め合う共生社会の実現。これら様々な想いを燕市の火に込め東京へ送り出す。

鎚起銅器の製作実演は重要無形文化財保持者(人間国宝)玉川宣夫氏が行った。
鎚起銅器には金属を叩くと同時に、叩いて縮める技法がある。欅の板に座った玉川さんが銅板を叩く。いたがねを絞って立体にする「つめる」作業。非常に柔らかい銅は槌で叩くと伸びる。同時に硬くなる。硬くなった銅を600〜800度の炉の火の中に入れると組成が変化して柔らかくなる。熱くなった銅を水に入れて急冷する工程を「焼きなまし」という。

玉川さんが「焼きなまし」を行って、炉の火から採火。採火した火を玉川さんは、パラアスリートの坂田由香利さんに手渡す。坂田さんがランタンに「聖火」を灯すと会場から拍手が湧き起った。玉川さんは「パラリンピックの火が世の中を浄化してくれることを願っている」、坂田さんは「燕市でも障害を持つ人が楽しくスポーツできればいいなと思っている」とあいさつをした。

採火した「燕市の火」は、8月16日午前8時30分から午後1時まで燕市役所エントランスホールに展示する。無料で誰でも見学ができる。「燕市の火」は展示後に坂田さんが、同日16時から新潟ふれ愛プラザ(新潟市江南区亀田向陽1-9-1)で開催される集火式に送り届ける。

採火式は新型コロナウイルス感染症対策のために、来賓や報道関係者など50人程のみで実施した。採火式の様子は、後日動画で公開する。


[玉川宣夫氏]
昭和17年、下田村庭月(現三条市)に生まれる。
様々な金属を重ね合わせる「木目金」の第一人者。
平成14年、正倉院宝物「銀薫炉」を復元。紫綬褒章を授賞。
平成22年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。
燕市名誉市民。
[坂田由香利氏]
燕市出身、33歳。陸上競技のパラアスリート。
高校3年生からパラ陸上を始めた。平成20年〜29年に計10回、全国障害者スポーツ大会に出場した。
50mで4回優勝、スラロームで4回優勝など上位入賞する。

燕市採火式の様子

2021年8月15日(燕市産業史料館)


写真等の掲載について⇒
プライバシーポリシーのページへ⇒


Comments are closed