カヌースプリント競技の當銘孝仁選手(とうめたかのり・28)=三条市スポーツ協会=が念願のオリンピック切符を手に入れた。當銘選手は五輪初出場。新潟県三条市から東京オリンピック出場に内定したのは初めて。(以下、敬称略)
日本カヌー連盟は2021年5月30日午前8時30分から石川県小松市・木場潟カヌー競技場で、カヌースプリント男子カナディアンシングル(C-1)1000mの東京2020オリンピック代表選手選考会決勝レースを実施。當銘ら9人が出場し代表1枠を賭けて戦った。
レースは當銘が序盤からリードしてリズムを作ると、500mでトップに立ちそのままゴール。世界で戦ってきた勝負強さを見せつけて1位でゴール。オリンピック代表内定を決めた。
日本にはカナディアン競技で開催国枠1があるが、自力でのC-2・1000m種目の五輪出場を目指して當銘・大城海輝(おおしろかいき・28)ペアはオリンピック予選のシニア世界選手権大会(ハンガリー・セゲド、2019年8月)やアジア選手権(タイ・チョンプリ、2021年5月)に挑んできた。特にアジア選手権ではトップと0.17秒の僅差まで迫った。
選考会後、報道陣の取材に當銘は、アジア選手権を振り返って『あれ以上のレースはやったことがなかった』とし、「それくらい、完璧なレース。やり尽した」と話した。タイのレース後には「ぶっ倒れて病院に運ばれた。病院でどんな差で負けたか知った」。「まだシングルがある」と言葉をかけられても、すぐには気持ちを切り替えることができなかったが、沖縄や新潟のコアな人たちが熱く応援してくれ「めちゃくちゃ力になった」。
選考会にはこれまでペアで共に戦ってきた大城や、かつてペアを組んだ佐藤光も出場。お互いリスペクトしながらもライバルとして戦った。
當銘は4:01.343のタイムでゴールに飛び込むと、2度、雄叫びをあげた。それは「勝った喜びよりも試合前のネガティブな自分に対して」だった。
東京オリンピックまで残された時間は多くない。ペアからシングルに変わっての戦いにも課題が残る。「どこまでできるかわからない」が、アレックスコーチ、ペドロコーチを信じ、ぶれずにできることをやって「決勝に残って、メダルを掲げたい」と誓った。
応援に来ていた新潟県カヌー協会副理事長で強化統括責任者の澁谷毅さんは「ゴールした瞬間に腰が抜けました」と語り、彼はいろんなことをすべて犠牲にしてやってきた、犠牲にしたとか苦しいとか思ってなくて、そういうことをポジティブに捉えてチャレンジしてきた、「成果が実って本当によかった」と新潟県カヌーアスリートから初めてのオリンピアンの誕生を喜んだ。
着順 | 選手名 | 都道府県・所属 | ゴールタイム |
---|---|---|---|
1 | 當銘孝仁 | 新潟県・一般社団法人三条市スポーツ協会 | 04:01.343 |
2 | 八角周平 | 栃木県・栃木県スポーツ協会 | 04:04.978 |
3 | 永沼 崚 | 宮城県・株式会社ユアテック | 04:06.900 |
4 | 橋本将都 | 京都府・サコス株式会社 | 04:07.118 |
5 | 佐藤 光 | 埼玉県・自衛隊体育学校 | 04:09.203 |
6 | 熊井友弥 | 埼玉県・自衛隊体育学校 | 04:11.678 |
7 | 小梶孝行 | 滋賀県・株式会社たねや | 04:19.576 |
8 | 大城海輝 | 三重県・三重県カヌー協会 | 04:22.630 |
9 | 籔 碧透 | 埼玉県・自衛隊体育学校 | 04:28405 |
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