【柔道】「言葉に出す」ことで夢を叶えた五輪メダリスト橋本壮市選手のトークショー　中学生に「橋本SP」を直接指導も |

パリ五輪柔道メダリスト橋本壮市選手SPトークショー

パリオリンピック柔道の男子73kg級で銅メダル、混合団体で銀メダルを獲得した橋本壮市選手（パーク２４(株)）のスペシャルトークショーが9月13日、新潟県三条市で開催され「夢を叶えるチカラ」をテーマに熱く語った。柔道クリニックも実施され、中学生に「橋本スペシャル」を直接指導した。

（投稿/2025年10月9日）

この記事の写真を見る→

中学生柔道クリニックの写真を見る→

トークショーは旧市町村体育協会合併20周年記念事業、市町村合併20周年記念事業として一般社団法人三条市スポーツ協会（中條耕太郎会長）が主催、三条市と県央スポーツネットワークが共催して三条市体育文化会館（たいぶん）で、パリ五輪メダリストの橋本選手を招いて行われた。

橋本壮市選手（34）は1991年8月24日生まれ。静岡県出身。東海大学卒業。2017年、ブダペスト世界柔道選手権大会で優勝。2024年のパリオリンピックに柔道73kg級日本代表として出場し、個人で銅メダル、混合団体で銀メダルを獲得した。日本の柔道史上最年長の五輪メダリスト。

橋本壮市選手

橋本壮市選手（右）

トークショーは午前11時からたいぶんマルチホールで行われ、120人ほどの柔道関係者や市民等が講演に耳を傾けた。中條会長は、講道館の創始者嘉納治五郎の「自他共栄」、橋本選手の座右の銘「広壮豪宕（こうそうごうとう）」を引き「市民一人ひとりが協力をして大きく変わっていく、まさに三条市および三条市スポーツ協会合併20周年にふさわしい橋本先生にお越しいただき、橋本スペシャルをはじめ、いろんな話が聞けることを楽しみにしている」と開会の挨拶。滝沢亮三条市長は「スポーツには夢を与える力、人を動かす力、そして人生を変える力がある。メダル獲得までの道のりや苦しかったこと、夢を叶えるためにどういう力が必要なのか、などの話を聞けることを楽しみにしている」とあいさつをした。

橋本選手はスポーツMCの中村博和氏の質問に答えるトークショー形式でアスリート人生や五輪メダル獲得までの道のりなどを語った。

32歳で銅メダルを獲得した時の気持ちについては「金メダルしか見ていなかったので、すっごく悔しかった。メダルをとれたうれしさよりも安心感が強かった」と心情を吐露。
6歳の時に仮面ライダーを見て両親に「闘いたい」と言ったら、道場に連れていかれて柔道を始めた。小学生の頃は柔道とサッカーの両方をやっていて、中学進学時に柔道を続けるために東海大相模中学校に入学。親元を離れて寮生活となり、部活が大変できつかったが「やめようとは思わなかった。気づいたら力がついていた」。東海大相模高校時代にはインターハイ制覇を成し遂げた。

東海大学の四年間は周りは国際大会で活躍するようなすごい選手ばかりで「一番苦労した。活躍できずに辛かった」。それでも「オリンピックに出る」「世界チャンピオンになる」と言い続け、言葉に出していた。サポートメンバーとして行ったリオ五輪でメダルをとる選手たちを目の前にして「夢から目標に変わった」。

地元開催の東京オリンピックの時には世界ランキング1位だったが、同学年のライバル、大野将平選手がいて日本代表に選ばれなかった。東京五輪が終わった時には柔道家としては終盤の30歳。引退もチラつく年齢だったが「とりあえず代表が決まる2年間がんばろう」という思いで必死にやって代表の座を掴んだ。代表に決まってからパリ五輪までの1年間は、逆算をしてピークを2024年7月に完璧に合わせて、個人では銅メダル、混合団体では銀メダルを獲得した。

諦めずに夢を叶えることができたのは「言葉に出す」ことがよかった。言葉に出すことで自分を追い込んで、素直にひたむきに、一つひとつやってきたことが実を結んだ。
紆余曲折があった柔道人生だったが、落ちた時に自分をどうコントロールするかが大事だと、柔道人生を振り返った。

Q&Aコーナーでは、ルーティーンは？「試合の前にうな重を食べる」。尊敬する柔道家は？「井上康生さん」。怪我をした時の練習は？「怪我をしていてもできることは沢山ある。いま、できることを全力でやる。“見取り稽古”で柔道を見て学ぶことなど」と質問に答えた。

午後2時半からたいぶんアリーナに畳を敷いた特設会場で橋本選手、清水健登（けんと）選手=パーク24=の二人が、三条、燕、加茂市などの中学生30人程を直接指導。ジョグ、スキップ、前転、後転、開脚前転、受け身、手押し相撲などでウォーミングアップ。袖釣込腰（そでつりこみごし）を片手で決める『橋本スペシャル』を直接伝授。「前を見て投げると力が伝わりやすい」と一人ひとりに指導した。体落としは、足の位置に注意する、踵を上げて相手を上から下に落とすなどと技のコツを教え、最後に乱取りをして終了した。