【オリンピック】コソボ柔道選手団が三条市で事前合宿 市長が柔道着で歓迎

東京オリンピックに出場するコソボ共和国柔道選手団がホストタウンの新潟県三条市で2021年7月16日から事前合宿を行っている。リオ五輪女子52kg級の金メダリスト、マイリンダ・ケルメンディ選手は「とてもいいコンディション」で、連覇に期待がかかる。

三条市は東京2020オリンピック開催に当たり7月15日~21日までコソボ共和国のホストタウンとして、同国柔道選手団の事前合宿を受け入れている。
女子選手4人、男子選手1人、コーチ1人、練習パートナー1人の計7人の選手団は15日午後に羽田空港に到着。空港検疫後、専用バスで三条市に移動。16日~20日まで三条市体育文化会館で事前合宿を行い、21日に専用バスで都内の選手村に入る。中小企業大学校三条校に宿泊し、市内では宿泊施設と練習施設の移動のみという行動制限がかけられ、選手団と市民とのの交流事業は行わない。

選手団は全員ファイザー社製ワクチンの接種を受けていて、自国で2か月間以上の隔離生活後に日本に入国。出国前96時間以内に2回、日本入国時(検疫)、市内滞在中は毎日、抗原検査又はPCR検査を実施する。

コソボの選手はリオ五輪金メダリストのケルメンディ選手や世界ランキング1位のクラスニキ選手、2019世界柔道銅メダリストのロリアーナ・クカ選手など日本の強力なライバルとなりそうなメダル候補が勢揃いした。

コソボ共和国柔道選手団
名前 階級 主な成績
ディストリア・クラスニキ 女子48kg級 現世界ランキング1位
マイリンダ・ケルメンディ 女子52kg級 リオ五輪金メダリスト
ノラ・ジャコバ 女子57kg級
ロリアーナ・クカ 女子78kg級 2019世界柔道
銅メダリスト
アキル・ジャコバ 男子73kg級
ドリトン・クカ コーチ
フラカ・ロジャ 練習パートナー

7月16日午後3時過ぎから体育文化会館で、選手団7人とアルバー・メフメティコソボ共和国臨時代理大使、滝沢亮三条市長、梨本次郎三条市ホストタウン事業実行委員会長が出席して歓迎セレモニーが開催された。
三条高校柔道部で黒帯の滝沢市長は柔道着で登場し、自身が「一番楽しみにしていた」と選手団を歓迎し「環境を整えてサポート」することを約束、「本当は東京まで応援にいきたいが、テレビで一生懸命応援します」とあいさつをした。

メフメティ臨時代理大使は新型コロナウィルスの世界的流行にも関わらず選手団を受け入れてくれたことに感謝し、「三条市職員が作った応援動画を見た何千人ものコソボ市民より、心からの挨拶と祝福を伝えたい」と述べた。
選手を代表してクカコーチは、「最高の結果を出せた」と2019年世界選手権時の受け入れに謝意を示し、「東京オリンピックでさらに良い結果を持ち帰れることを期待」し、「そのメダルは私たちの祖国と三条の皆様に捧げる」とした。

市民の出迎えの代わりに用意された応援メッセージ動画を流し、大島病院に入院している患者が必勝を願って折った千羽鶴を選手団に贈呈した後、選手団が報道陣からの質問に答えた。

質問はケルメンディ選手に集中し、ライバルの日本人選手は?の質問に、同じ階級の阿部詩(うた・21)選手の名前をあげ、「決勝戦で阿部選手と対戦し、勝つのが目標」だと答え、「とてもいいコンディションにあるので、結果に期待ができる」とした。
セレモニー後の囲み取材でケルメンディ選手と阿部選手のどちらを応援するのか?と問われると滝沢市長は「今日実際に会ってケルメンディ選手を応援することにした」と力を込めて答えた。

東京オリンピックでコソボの選手たちが出場するのは
・女子48kg級 7月24日(土曜日)
・女子52kg級 7月25日(日曜日)
・女子57kg級 7月26日(月曜日)
・女子78kg級 7月29日(木曜日)
・男子73kg級 7月26日(月曜日)
の予定。

歓迎セレモニーの様子

2021年7月16日(三条市体育文化会館)

[コソボ共和国とは?]
南東ヨーロッパのバルカン半島の内陸部にあり、人口180.5万人、岐阜県と同じくらいの面積で、2008年に独立したばかりの新しい国です。首都はプリシュティナです。
紛争の記憶がありますが、現在は復興を遂げ、世界遺産にもなっている歴史的な街並みや自然の美しさを見に訪れる旅行客が増えています。
また、マザーテレサが生まれ育った国でもあり、首都にはマザーテレサ大聖堂が建てられています。

[ケルメンディ選手]
マイリンダ・ケルメンディ選手は、8歳で柔道を始め、19歳の時には世界ジュニア52kg級で優勝を成し遂げました。その後も国際大会で3大会連続優勝を果たすなど、実力を伸ばしていくものの、コソボ共和国がオリンピック参加国として認められていなかったため、ロンドンオリンピックには隣国アルバニア代表として出場しました。また、他の国々から自分たちの国に来るよう申し入れも受けましたが、コソボ代表としての出場を望みました。リオデジャネイロオリンピックの時には、ようやくコソボ共和国が正式に参加国として認められ、ケルメンディ選手はコソボ代表として初めてオリンピックに出場し、そして、コソボ共和国に初となる金メダルをもたらしました。

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